2016 年 72 巻 2 号 p. I_1351-I_1356
汽水湖の自然的要因(水温,塩分)と人為的要因(都市下水),餌源(SS)をヤマトシジミに実験的に外乱として与え,ORAC法により総抗酸化力を評価した.自然的要因に対しては,総抗酸化力は2日目で既に減少し,1週間程度で実験開始時の総抗酸化力に回復した.人為的要因に対しては,総抗酸化力は2日目で逆に増加したが,1週間程度で同様に回復した.したがって,ヤマトシジミはストレス環境では短期的な応答を示すものの,その状態が継続すれば環境に順応する可能性が示された.SSに対しては,1個体あたり0.07 mg-C程度の摂取可能な有機物量があれば,ストレス環境にないヤマトシジミの総抗酸化力は維持できることが分かった.また,総抗酸化力の変動には,SS中の有機物量が影響することが明らかとなった.