2016 年 72 巻 2 号 p. I_1423-I_1427
積丹半島西岸の赤石漁港周辺では,海底面の嵩上げ(波動流速増加)によるウニ摂餌の抑制を目的として,平成4年に大割石による投石礁が設置されたが,近年では海藻の着生が少ない.本研究では,赤石の投石礁と比較のため海藻繁茂状況の良い寿都漁港の消波堤背後小段を対象とした.両地点での毎月の現地調査により,海藻現存量とウニ個数及び物理環境の変動特性を把握し,投石礁での海藻量が少ないことの原因を明らかにした.岩礁域の寿都では,従来の予測法(10日平均値)で海藻現存量を定量的に予測できたが,投石礁の赤石では,ウニの逃避場が内部にある(移動時間小)ため,従来よりも短い日数(5~7日)の平均値を用いることで推定できることがわかった.