2016 年 72 巻 2 号 p. I_1699-I_1704
熊本県宇土市にある御輿来海岸は,多段バー・トラフ構造が続く美しい砂質干潟である.筆者らは,当該干潟の堆積土砂の地盤断面構造を把握するため,ジオフォンを使った多チャンネル型表面波探査(MASW)を実施してきたが,調査範囲は潮上帯から潮間帯の干出した領域に限られていた.本研究では,ジオフォンに代わってハイドロフォンを使うことにより,調査範囲を潮下帯まで拡大することを試みた.潮上帯から潮間帯にかけての領域ではジオフォンを使った干出時の調査により,潮間帯から潮下帯にかけての領域ではハイドロフォンを使った冠水時の調査により,地盤断面構造を評価することができた.ハイドロフォンによるMASWでは,表層付近のせん断波速度に関して,起振点とハイドロフォンとのオフセット距離の影響が現れることが留意点となる.