抄録
アンサンブルカルマンスムーザー(Enks)を用いることによって,アンサンブルカルマンフィルタ(Enkf)よりも高精度に津波即時予測が可能になるかどうかを検討した.Enksでは固定ラグスムーザーを用いたが,まずラグLの設定方法を検討した.数値実験の結果,観測時間5分の場合にはL=50, 60, 75秒,観測時間15分の場合にはL=90, 100, 150秒での推定結果の平均値を用いれば,DONET2の津波計を用いる津波即時予測としては最適な推定結果が得られることがわかった.次にEnksの解の収束性についても検討したが,反射波が含まれない観測データを用いるならば,推定結果は真値に収束していくことが示唆された.さらに,Enkfでは観測時間15分で得られた精度と同程度な予測精度が,Enksであれば観測時間5分で得られることがわかり,Enksによる高精度化が可能となった.