2016 年 72 巻 2 号 p. I_433-I_438
2011年3月11日東日本大震災が発生し,甚大な津波被害をもたらした.この時気仙沼では津波に流された石油タンクから油が流出する事故が発生した.本研究では,東京湾における津波に対する石油タンクの安全性を評価し,流出する油の移流拡散挙動を明らかにすることを目的とした.慶長地震を想定した津波数値解析の結果,石油タンクへ津波が到達するのは地震発生後95分,最大浸水深は約2.3 mであった.被害を受けるのは貯蔵率が20 %未満の石油タンクのみであった.津波によって流出する油の量の期待値は約5000 klであった.油の移流拡散予測では,油の挙動に与える外力の影響評価を行った.計算結果より,風向,風速が与える影響は大きく,揮発の影響は相対的に小さいことがわかった.