2016 年 72 巻 2 号 p. I_535-I_540
本研究は,下新川海岸の入善海底谷周辺の土砂動態を明らかにすることを目的として,深浅測量,底質調査,海底状況撮影等の現地調査,水理模型実験および数値シミュレーションを実施したものである.深浅測量の経年変化より,移動限界水深よりも深いT.P. -15m~25m地点で顕著な侵食が確認できた.底質調査では,シルト・粘土分の水深方向分布からT.P. -50mまで砂が流出しにくいことが推測できた.底質調査と海底状況調査より,海底谷が岸側に迫っている測線ではT.P. -10mに礫が存在することが確認できた.この礫は,移動床の断面二次元水理模型実験より5年確率波程度の高波浪によってT.P. -10m程度まで移動すること,海浜流の数値解析より波向が礫の岸沖方向の移動に影響していることがわかった.