抄録
ベトナムのニャチャン海岸に設置した二台のビデオカメラから得られる連続的モニタリング画像から,同海岸における汀線変化の評価を行った.その結果,汀線の後退・前進が季節的に現われ,特に侵食は北東モンスーンがもたらす波浪によることを示した.また,この汀線変動データに経験的固有関数展開(EOF)を適用した結果,第一成分が89%以上の貢献度を有し,それ以外の成分が無視できる程度であることが判明した.第一成分の時間関数は季節的な変動を示しており,モンスーンによる波向きの変化に対応した沿岸漂砂の季節変化に対応するものであった.このような波浪特性の季節変化を考慮した移動限界水深Dcをもとに沿岸漂砂量の推定を行い,Dc値を一定値とする通常の取り扱いとの相違,特にnet沿岸漂砂量に及ぼす影響を明らかにした.