2016 年 72 巻 2 号 p. I_667-I_672
高波浪イベント時における,遡上域から砕波帯内外にかけての岸沖底質移動,および鉛直混合動態を明らかにすることを目的とし,茨城県波崎海岸において波浪計測,地形測量を行うと共に,細砂,粗砂の二粒径の蛍光砂をバーが形成される地点よりも陸側と沖側の2ヶ所に投入し,高波浪来襲後に底質コア採取を行った.底質コアはX線CTスキャン実施後に細分割し,蛍光砂採取,粒度分析を行った.その結果,明瞭なバー地形が存在しない地形形状の場合には,バー沖側の細砂が汀線まで輸送されバームの形成に寄与していることが分かった.また,バー沖側の粗砂はバームの形成に寄与せず,細砂とは異なる移動形態を示し高波浪により一気に移動することが示唆された.