2016 年 72 巻 2 号 p. I_673-I_678
石川県千里浜海岸周辺では数年周期で多段砂州の組織的沖向き移動が繰り返されている.本研究では,現地観測データから経験的固有関数法により抽出された砂州移動の固有モード情報を活用することで,砂州の周期移動に伴う海底地形の時空間変動を簡潔に表現可能なモデルを構築し,砂州変動の位相・振幅特性やモデルの適用性について検討を行った.時間固有関数は正弦・余弦関数で近似し,時間的な位相・振幅変化を線形回帰で表現した.空間位相・振幅変化は,指数関数および1次,2次多項式の組み合わせで特徴を再現した.両者を組み合わせて,砂州地形の時空間変動を最終的にモデル化した.その結果を基に砂州配置や規模の変遷を解析し,本モデルは砂州移動に伴う地形変化の特徴を良好に再現できることを示した.