2016 年 72 巻 2 号 p. I_763-I_768
東北地方太平洋沿岸の自然環境は,東北地方太平洋沖地震及びそれに伴う津波により大きな影響を受け,その後も自律的な再生や復旧・復興により変化を続けている.本調査では,津波が到達した青森県から千葉県の砂浜・泥浜海岸(約680km)を対象として,1970年代から震災3年後の2014年までの汀線及び背後地の土地被覆(砂浜・砂丘植生・海岸林・その他)の変化量を解析した.その結果,震災後は海岸林の減少に伴い造成地等が増加していること,汀線の後退に伴い砂丘植生が減少していることが把握できた.また,対象とした海岸の中には,砂浜が速やかに回復した海岸や,一方で河口砂洲がほとんど回復していない海岸がみられたことから,海岸毎に変化の特性が異なることがわかった.