アサリは,近年漁獲量の減少が著しい.アサリが育つ干潟の再生には,主要な餌料である底生微細藻類などの増殖を促進する必要がある.そこで,本研究では,施肥材とあぜ板の組み合わせによるアサリ漁場の改善効果について検討を行なった.その結果,施肥材散布区では,間隙水中のDIN,DIP濃度及び底泥のクロロフィル a量の増加が確認されたが,溶出効果は半年程度と考えられた.アサリの総重量は,試験開始後4 ヶ月で対照区で7.2倍,試験区で10.4-12.6倍となり,1600g区では個体重量が有意(t-test, p<0.05)に高い値を示した.このことから,施肥材とあぜ板設置の組み合わせは,アサリの漁獲量増加を促進する方法として期待できる技術と考えられた.