2017 年 73 巻 2 号 p. I_1153-I_1158
従来の港湾構造物の設計波は,風波とうねりを区別せずに抽出した極大値資料を用いて算定することが一般的であった.しかし近年,2013年の台風第23号による鹿島港の被災等,うねり性波浪による港湾施設の被災が相次ぎ,うねりを考慮した設計波の設定の必要性が高まっている.しかしながら,実務として全国の港湾でうねりを考慮した設計波を設定するにあたっては幾つかの課題がある.本研究では,全国港湾における波浪観測データを用いてうねりが卓越する海域を把握するとともに,うねりの出現頻度が高い鹿島港を例に設計波の試設定を行い,うねりを考慮した設計波の設定における留意点を示した.また,従来設計波に加えてうねりを考慮した設計波が防波堤の安定性照査に及ぼす影響について概略的な評価を行った.