土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
沿岸域の堆積泥を対象とした示差熱分析手法の確立
高田 大貴森本 優希Narong TOUCH中下 慎也日比野 忠史
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2017 年 73 巻 2 号 p. I_1201-I_1206

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抄録

 示差熱計や熱重量計を使用した物質の熱反応特性の解明は広く行われている.本研究では特に沿岸域に多く堆積する底泥(堆積泥)を対象に示差熱分析を行い,分析手法を提案した.堆積泥中には無機物,有機物が多種多様に含有されており,より精度の高い分析を行うために試料の前処理方法(乾燥法,粒度調整法)と最適な加熱速度,試料量の提案を行った.本実験から(1)100℃以下の揮発性物質を評価するための乾燥法として,凍結乾燥が最適であるが,50℃炉乾燥を凍結乾燥の代用として使用可能,(2)75μm以下に試料を粒度調整することでバラツキの小さい測定が可能,(3)試料の吸熱・発熱反応を高精度でとらえるためには5~10℃/minの加熱速度が適切,(4)試料量の適度な増加によるDTA(吸熱・発熱量)の増大により有機物の特定が容易であることが明らかとなった.

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© 2017 公益社団法人 土木学会
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