2017 年 73 巻 2 号 p. I_1219-I_1224
汽水湖の水質汚濁を想定して,都市下水,シマジン(除草剤)を外乱としてヤマトシジミに与え,ORAC法により総抗酸化力の応答を評価した.また,外乱実験を経たヤマトシジミを実験前の標準状態に戻したときの総抗酸化力もあわせて評価した.ヤマトシジミは,都市下水に曝されたことにより細胞が損傷している状況にあっても,総抗酸化力は応答しにくいことがわかった.一方,シマジンに対しては水質環境基準値の濃度でも応答することがわかった.現地でのモニタリングでは,採取したヤマトシジミを本実験で導入した標準状態系に曝露し,ORAC等のバイオマーカーの時系列データを得ることにより,有効な解析ができる可能性が示された.