2017 年 73 巻 2 号 p. I_1243-I_1248
本研究では,既往の研究ではガウス分布に従うと仮定することの多い水質モデル内に含まれる非負の変数が,対数正規分布に従うと仮定する対数正規4次元変分法を用いて,水深方向に変化が大きい内湾の水質鉛直分布のデータ同化を行った.非負の変数がガウス分布および対数正規分布に従うと仮定した場合においてそれぞれ双子実験を実施し,同化効果の比較検証を行った.その結果,溶存酸素が負の値をとることなく大阪湾の貧酸素水塊を再現することができた.しかし,クロロフィルのように十分な再現性が得られなかった水質項目も存在し,対数正規4次元変分法による精度向上には,同化パラメータの最適化や通常の正規4次元変分法との使い分けおよび連携等の検討の余地が残った.