2017 年 73 巻 2 号 p. I_1603-I_1608
本研究では,2016年11月22日に発生した福島県沖の地震にともなう津波避難行動について,宮城県石巻市を対象にした質問紙調査とその分析よって,当日の避難行動の傾向や課題を明らかにした.主な結果は,次の通りである.1)避難実施率は約4割に留まり,津波警報が避難行動開始の主なトリガーになっていた.2)避難した住民のうち,5割を超える人が車で避難を行い,市内複数箇所で車による渋滞が発生した.3)避難行動の有無は,東日本大震災に比べてどのような大きさの津波が来るのかという各個人の予想に大きく規定されており,東日本大震災で住まいを失った経験をしたことや,訓練への参加経験したことで,避難行動の実施が促されていた.