2017 年 73 巻 2 号 p. I_229-I_234
本研究は,高潮・高波の氾濫解析において,建物の影響を粗度係数として考慮した方法と建物占有率による面透過率と抗力で評価した方法の2手法で解析を行い,建物の評価手法の違いが浸水被害に及ぼす影響を数値解析により比較検討したものである.単純なモデル地形の数値的検討では,建物の影響を建物占有率として評価した手法の場合,越波位置から一定の範囲で浸水深が増大する傾向にあり,その影響は流量および建物密度の影響を強く受けることがわかった.また,富士海岸を対象とした数値的検討においても,建物占有率として考慮した手法の方が,浸水範囲の拡大および浸水深の増大している地域が多くみられ,特に浸水深の増大の影響が比較的大きいことを定量的に示した.