2017 年 73 巻 2 号 p. I_925-I_930
津波越流発生時の堤体への作用波力の算定は巨大津波に対する耐波性能照査の根幹を成す最重要課題である.しかし,限られた実験ケース数に基づき構築された現行の波圧算定式(静水圧差式)は,算定式内の静水圧補正係数の検討が不十分なため,特に港内外の水位差が卓越する越流条件下では作用波圧の現行式からの逸脱が顕著となる.また,その波圧の変動特性についても未だ不明な点は多く,算定式の改良が必須の課題である.本研究では,津波越流条件下での防波堤を対象とした水理模型実験および高精度粒子法を用いた数値実験を実施して,マウンドの透水性の変化や腹付け工の設置,上部工パラペットの設置による波力の変動特性を検討し,静水圧補正係数の包括的な算定手順を新たに提案する.