2018 年 74 巻 2 号 p. I_1453-I_1458
日本の沿岸域には人口・産業機能等が集積しており,平均海面水位が上昇した場合,社会・経済活動への影響が懸念される.日本沿岸における平均海面水位は,近隣検潮所であれば同一の変動が生じるものと考えられるが,実際に検証した研究例は少ない.本研究では,港湾域と近隣検潮所における平均海面水位のトレンドを比較し,その変動特性を考察した.その結果,近隣検潮所間といえども,トレンドの傾向が異なっている場合があることが判明した.平均海面水位のトレンドと水温上昇トレンドを比較し,水温上昇が平均海面水位のトレンドに与える影響を評価したところ,水温増加に対する水位上昇率に地域差があることが原因の一つであることが分かった.