2018 年 74 巻 2 号 p. I_169-I_174
従来より,著者らは,一般的な実験水路において多様な津波波形を再現するため,電動式スルースゲートを用いた新たな津波造波装置の開発を進めてきた.同時に,1次元数値計算モデルを使用した効率的な造波制御データの作成手法についても検討を進めてきた.しかしながら,従来の数値モデルは分散第2波以降の波形の再現性が悪く,複雑な津波波形の造波制御にまで至っていない.そこで本研究では,本数値モデルによる段波津波の計算精度向上を目的とし,小型水路および大型水路実験を対象にモデルの改良を行った.小型水路実験では,分散項の検討および分散第1波波高の人為増幅・砕波減衰過程の修正,大型水路実験ではゲート流出流量の補正式を導入することで,良好に実験結果を再現できることを示した.