2018 年 74 巻 2 号 p. I_175-I_180
津波の発生から市街地氾濫までの統一的なシミュレーションを効率的に実行するためには,要求される計算精度に応じて,2Dモデルと3Dモデルを適宜選択することが可能な2D-3Dハイブリッド・シミュレーション手法が必要となる.この点で,格子ボルツマン法(以下,LBM)が注目されているが,津波解析を実行する上で要求される計算精度が十分に満足されていないことや,2D-3Dハイブリッド接続を行う上で重要な,LBMによる3D自由表面流れモデルの弱圧縮性について,十分に検証が行われていないことが問題となっている.
そこで,本研究ではMRT-LBMの弱圧縮に関する数値的検証を実施し,その弱圧縮を考慮した新たな2D-3Dハイブリッド・シミュレーション手法を構築した.ゲート急開流れによる検証を通じて,本提案手法により大規模領域における3D津波シミュレーションを高精度かつ効率的に行うことが可能であることを明らかにした.