2018 年 74 巻 2 号 p. I_355-I_360
2011年3月の東日本大震災に伴った津波被害を拡大させた原因の一つとして,裏法尻付近の洗掘による海岸堤防の破堤が挙げられる.近年,粒子法に基づく洗掘モデルが開発されているが,同モデルでは一度洗掘された土砂の再堆積の考慮が含まれていない.本研究では粒子法に基づいた洗掘モデルを対象に再堆積の概念を導入し,より高精度に洗掘孔および後方域まで再現可能となったことを確認した.またそのモデルを用いて,海岸堤防の背後地に十分に根入れした遮蔽物を設置する場合を想定し,海岸堤防背後地での最大洗掘深および越流水塊先端の運動量へ与える影響についてケーススタディを行った.その結果から,堤防法尻部から適切な位置・高さの遮蔽物を設置することで,最大洗掘深および越流水の運動量を効果的に低減できることが示唆された.