土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
津波・高波による巨礫移動特性の実験的検討
木曽 哲志安田 誠宏森 信人Andrew KENNEDY
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2018 年 74 巻 2 号 p. I_361-I_366

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抄録

 熱帯や亜熱帯の沿岸部には,珊瑚の石灰岩でできた巨礫が存在しており,津波石や台風石と呼ばれている.これらは文献記録が残っていなくても,過去数百年から数千年にわたる歴史的な津波や大型台風の発生の証拠として重要である.しかし津波や高波による巨礫の移動限界や空間分布の観測記録は限られており,詳細な移動メカニズムは不明であるため,巨礫移動のモデル化は困難である.本研究では,津波を模擬した孤立波と不規則波を用いた水理実験を行い,巨礫の移動特性について検討した.孤立波では水平床部が干出する場合に,不規則波では水没する場合に石の移動距離が大きくなった.孤立波では砕波位置の変化による流体力の変化,不規則波では浮力の作用による摩擦力低下により,移動距離が大きくなった.また,流体力と最大静止摩擦力から石を動かすために必要な力の算出を行った.

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