2018 年 74 巻 2 号 p. I_463-I_468
数値計算と統計解析を組み合わせた確率論的津波ハザード評価手法としてこれまで,ロジックツリー手法や確率滑りモデル等,様々な手法が提案されてきた.しかし,既往手法は数百から数千の津波数値計算が必要なため,計算負荷が大きく,実務で用いる手法として馴染まない例がある.
そこで本研究では,相模トラフ地震津波を対象に,津波ハザードの不確実性を,計算負荷を抑え,かつ,確率分布により評価可能な応答曲面法を用いて,確率論的に津波損害を評価することを目的とした.結果,比較的少数の数値計算の実施で,相模湾岸に立地する鉄骨造建築物の損害率の条件付期待値が約36.9%と評価できた他,津波浸水深の頻度分布の極値に寄与する地震発生領域や損害率の超過確率分布が評価可能であることを確認した.