土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
津波伝承による津波の備えやリスク認識・実避難行動への影響-宮城県気仙沼市の事例-
新家 杏奈佐藤 翔輔川島 秀一今村 文彦
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2018 年 74 巻 2 号 p. I_499-I_504

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抄録

 本研究では,津波伝承による津波の人的被害低減効果の定量的な傾向を明らかにするために質問紙調査を行い,津波災害発生以前の津波の備えや津波リスクの認知,実際にとられた避難行動と津波災害発生以前の津波伝承の状況との関係について分析した.分析の結果,3つの結果・結論が得られた.1)過去の津波について知っている人は津波の備えを行い,犠牲者が生じた津波災害の伝承はより津波の備えを引き出した.2)過去の津波について知っている人ほど津波のリスク認知が高く,犠牲者が生じた津波災害の伝承は,発災時の津波被害や身の危険のリスク認知をより促した.3)津波伝承の状況と東日本大震災発生時の津波避難行動との間に明確な関係は見られなかった.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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