2019 年 75 巻 2 号 p. I_1093-I_1098
広島市中心部を流れる京橋川河岸干潟に堆積した有機泥上に石炭灰造粒物(GCA)が散布されている.GCA層には底生動物の餌となる藻類が繁茂し,生態系の改善が進んでいる.珪藻の減少が懸念される海域において珪藻ファームの構築の可能性を検討するため,河岸干潟GCA層に繁茂する主要な微細藻類を特定し,その量を定量化するための調査,および沿岸域での微細藻類繁茂実験を行なった.本研究の目的は様々な水質環境下におけるGCAの微細藻類生産効果,機構を明らかにすることである.繁茂実験では,SiO2,栄養塩とGCAに付着する微細藻類,クロロフィル-a量との関係に注目し,経時的な変化を分析した.この結果,GCAの効果(シリカ溶出,栄養塩固定)が付着珪藻,浮遊植物の増殖を助長することが明らかにされた.