2019 年 75 巻 2 号 p. I_1321-I_1326
全世界の港湾を結ぶ船舶海上輸送網は,人々の生活や産業の基盤となっている.そのため,既往研究で着目されてきた港湾単体の津波リスクだけでなく,船舶海上輸送網全体が保有する津波リスクや被災していない港湾が受ける影響を事前に把握し,対策しておくことが重要である.本研究では,はじめに,船舶海上輸送網をネットワークでモデル化を行った.次に,地球全域を対象とした津波の数値解析を実施し,全世界に点在する港湾を出力点として津波の最高水位を算出した.さらに,2011年東北津波における検潮記録と被害報告を基に,港湾の被災判定基準を決定した.以上の結果から,被災港湾が船舶海上輸送網全体へ与える影響と被災していない港湾が受ける影響の考察を行った.