2019 年 75 巻 2 号 p. I_301-I_306
本研究では,2018年9月4日に近畿地方に上陸した台風21号により,走錨に陥った船舶3隻を対象に船舶漂流計算による再現解析を行うことにより,台風による船舶漂流の予測に資することを目的とした.経験的台風モデルを用いて風場を推算し,風速と風向きを観測値とフィッティングさせ,また,台風の吹込み角の違いで,どの程度風向きが変わるかを確認した.その上で船舶の航跡が合うように風向きを調整し船舶に作用させる外力として計算した.その結果,漂流方向と漂流距離は概ね再現できることを確認した.また,漂流速度に関して平均は概ね一致しているものの,各船舶で実際の速度と大きなばらつきが見られた.