2019 年 75 巻 2 号 p. I_445-I_450
航空写真やレーザ測量を用いてがれきの空間分布を把握する研究や,建物から発生する漂流物を対象にした漂流物計算に関する研究はあるが,同一地域で両方の解析を実施し,それらの結果を定量的に評価した研究はなく,漂流物計算の条件や結果の妥当性について十分な検討がなされていない.本研究では,これまでの漂流物計算で行われていた破壊と同時に断片化する建物を対象にした漂流物計算と,2011年東北津波時に見られた建物が形状を保持したまま漂流する非破壊漂流の計算を実施した.さらに航空写真の解析から得られたがれきの平面分布や海上流出率との比較より,計算条件や計算結果の妥当性を議論した.その結果,建物がれきを対象とした漂流物の漂着位置の分布を推定するには,がれきの断片化を適切に考慮することが重要であることが明らかとなった.