2019 年 75 巻 2 号 p. I_847-I_852
防波堤の耐津波に対する粘り強さを定量的に把握し,防波堤の倒壊に至るまでの破壊メカニズムを考慮した粘り強い構造の設計の確立を目標としている.そのために,筆者らは津波作用時には鉛直力,水平力,モーメントの3つの荷重が複合に作用した防波堤が,荷重の組み合わせに応じてその破壊モードが異なるものの,防波堤直下地盤の支持力の降伏曲面に着目することで統一的な評価が可能性であることを,FEM解析により示してきた.既往の研究では,検討したマウンド形状を含む構造断面形状が限られていたため,マウンド形状を変化させ,防波堤の支持力に及ぼす構造断面形状と作用荷重の関係をFEM解析で詳細に検討している.その結果,比較的簡単なパラメータのみで表現される支持力の降伏曲面の概念を導入すると,複雑な破壊モードや支持力の包括的かつ定量的な解釈ができ,降伏曲面の収縮度合いや作用モーメントの低減がねばりと関連する可能性を示した.