2020 年 76 巻 2 号 p. I_289-I_294
計算過程で空間解像度や時間刻み幅が動的に変化する適合格子細分化法(AMR法)の数値モデルを用いて,南海トラフ沿いで発生する巨大地震を対象に津波計算を行った.まずはじめにAMR法を用いた数値モデルの精度検証を行うため,解像度を固定した数値モデルとの計算結果を比較した.モデル間の比較の結果,いずれの地域においても計算結果は概ね一致した.つづいて,AMR法の格子分割基準を変化させた感度分析を行い,精度を保ちつつ計算負荷を減少させる格子分割条件を求めた.水深を閾値に格子解像度のレベルに上限を設けることで,計算に要する時間を有効に削減できることがわかった.AMR法を用いた数値モデルは,再現計算時間が長い場合や,広く長い海岸を対象に一体的に解く場合に有用と考えられる.