土木学会論文集B2(海岸工学)
Online ISSN : 1883-8944
Print ISSN : 1884-2399
ISSN-L : 1883-8944
76 巻 , 2 号
選択された号の論文の237件中1~50を表示しています
論文
  • Zuorui LYU, Nobuhito MORI, Hiroaki KASHIMA
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_1-I_6
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     To study nonlinear characteristics of freak wave, this research focuses on the spatial evolution process of weakly high-order nonlinear waves propagating over a sloping bottom. We use modified Non-Linear Schrö dinger (NLS) equation considering bathymetry change to conduct a Monte-Carlo simulation, and it gives spatial evolution of kurtosis and skewness of wave surface elevation at different cases. The effect of water depth and initial quasi-resonant interactions on wave evolution have been explored. We also discuss the relationship between kurtosis, skewness and maximum wave height, as well as their performance around critical water depth for four wave resonant interactions. The results indicate that in deep water initial BFI significantly effects kurtosis and occurrence probability of freak wave. From deep to shallow water, transition region around critical water depth makes this effect become complicated.

  • 鶴田 修己, 後藤 仁志, Abbas KHAYYER , 鈴木 高二朗
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_7-I_12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     数値波動水槽の実務適用に際しては,他モデルを用いた大領域波浪計算との接続が容易であることが望まれる.粒子法型数値波動水槽では,ピストン或いはフラップ型の移動壁を用いた造波境界モデルが広く用いられてきたが,他モデルの波浪計算結果を適用するには,入力波高を再現するための移動壁挙動のチューニング作業が必要となり,特に不規則波の再現にはユーザーの熟練が必要となる問題があった.そこで本研究では,入力断面での時系列波高のみを境界条件とする新しい造波モデルを構築して数値波動水槽へ導入した.また,規則波・孤立波による波伝播計算への適用から,提案モデルによる高い波の再現性を示すとともに,越波シミュレーションを通して,これまで問題となってきた越波に伴う水位の低下が改善されることを示した.

  • 渡部 靖憲, 小嶋 亮太
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_13-I_18
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,鉛直壁体への多方向集中入射によるflip-through過程をFaraday励振波動場によって模擬し,その基本的特徴を実験的に明らかにするものである.低周波励振下では周方向に一様な波峰高をもつ同心モードが,高周波励振では周方向高次モードが発達し,卓越モードが時間と共に変動するパラメトリック波動場が形成される.モードの変遷の中,低次の同心モードが現れると振幅が増大し,円筒中央に形成されたキャビティが同心集中波浪によって収縮され,その底部が鉛直上方に放出される典型的なflip-throughジェットが発生する.ジェット先端のretractionに伴いジェットの運動は強く影響を受け同時に生じた表面張力波により液滴への分裂を誘発する一方,発生初期の周方向の高次モードの水面変動が表面張力波の指向性を変化させ,分裂パターンを修正する.

  • 渡部 靖憲, 野中 拓実
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_19-I_24
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究はエアレーション下で発生する泡沫群の一連の残留過程における組織性の変化及びライフタイム,それらの界面活性効果依存性について画像計測により明らかにするものである.泡沫は発生時の微細泡沫と合体により大径化した泡沫による双峰のサイズ分布を持つ.内圧の低下により崩壊する微細泡沫と曲率低下に伴う表面張力の減少により崩壊する大径泡沫のライフタイムは異なる特徴を示す.界面活性効果の増加は大径泡沫の崩壊する限界径を低下させ,さらに合体の抑制によって多数の泡沫が隣接するクラスターの形成を活発化させる.ジェット落水に伴う広いサイズレンジの泡沫からなる強固な構造のクラスターは崩壊を著しく抑制し長時間残留させる.合体及びクラスタリングを経た泡沫ライフタイムを統計的に分析し,ライフタイムの確率モデルを開発した.

  • 五十里 洋行, 後藤 仁志, 樋口 優一, 長田 直樹
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_25-I_30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     固相粒子群の水面突入による水面波発生過程のシミュレーションを鉛直二次元場で実施する場合には,固相粒子間の間隙流の忠実な解析が困難となるため,固相粒子群内部の流れをDarcy流れとして解く扱いが必須となる.ただし,固相粒子の浸入によって押し退けられる体積分を適切に考慮しなければ,水面形に対する再現性が低下し得る.本研究では,粒子法を用いて流体運動を解くが,固相内部の流体粒子においては固相の体積分を考慮して見かけ上体積を増加させた.本計算を実施したところ,このような体積変化を行わない場合と比較して水面形の再現性が明確に向上した.また,2種類の固液間相互作用モデルを比較した結果,どちらもほぼ同等の結果が得られたが,非線形項のみのモデルでは抗力がやや大きく評価された.

  • 清水 裕真, 後藤 仁志, Abbas KHAYYER
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_31-I_36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     流体構造連成問題すなわちFSI問題(Fluid-Structure Interaction)は様々な工学分野に遍在しており,こと海岸工学分野においては自由表面を伴う激流と海岸構造物とのFSI現象が主となる.本研究では,粒子法によるFSI研究の最新成果の一つである陰的完全Lagrange型構造体モデルの更なる改良を行った.既往の陰的構造体モデルの課題であった回転行列に関する非物理的な仮定に対し,予測子修正子法を参考にした二段階計算アルゴリズムを導入することでモデルの更なる高度化・安定化を実施した.構造体およびFSI問題のベンチマークテストを実施したが,構造体モデルの検証ではエネルギー保存性および角運動量保存性について提案アルゴリズムの導入による改善効果が確認され,高精度MPS法型流体モデルとのカップリングにより構築したFSIソルバ―の検証では提案手法の優れた計算安定性が示された.

  • Abbas KHAYYER, Hitoshi GOTOH, Yuma SHIMIZU, Yusuke NISHIJIMA, Akari NA ...
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_37-I_42
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     In this paper, a 3D fully Lagrangian meshfree numerical solver for modeling of hydroelastic Fluid-Structure Interaction (FSI) phenomena is presented. Enhanced version of a projection-based MPS (Moving Particle Semi-implicit) fluid model is coupled with an MPS-based Newtonian structure model, resulting in 3D MPS-MPS coupled FSI solver. The Newtonian structure model is founded on conservation equations of linear and angular momenta corresponding to a linear elastic solid. The fluid-structure coupling is conducted by incorporating the FSA (Fluid-Structure Acceleration-based) scheme, where fluid-structure interface boundary conditions are precisely satisfied. The performance of the presented FSI solver is validated by conducting several benchmark test cases with analytical and experimental reference solutions. The solver is proven to possess notable robustness without use of any artificial stabilizers that often lead to unphysical numerical dissipations.

  • 加島 寛章, 森 信人
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_43-I_48
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     これまでにフリーク波に代表される線形理論と統計的に異なる特性を持つ極大波の深海域における出現特性やその予測理論の構築・検証について数多く行われてきた一方,浅水変形領域から砕波帯を含めた浅海域における非線形性の振る舞いやそれに起因する極大波の出現特性についてはその検討事例が少なく未だ明らかとなっていない部分が多い.そこで本研究では,勾配の異なる一様斜面地形を模擬した水理模型実験を行い,海底斜面上の非線形性の振る舞いや極大波の出現特性について検討を行った.その結果,最高波高の出現に関連の深いkurtosisの浅海域における振る舞いはskewness変化に追随したものであり,砕波形式によりその特性が変わること,斜面上では3次の非線形性で4波準共鳴相互作用により発達するkurtosisの最高波高の期待値への依存性が弱くなることが示された.

  • Che-Wei CHANG, Nobuhito MORI
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_49-I_54
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     In this study, the Boussinesq-type model in Kim et al. (2009)1) was applied with the incorporation of the specific mangrove effects to simulate wave propagation and hydrodynamics in mangrove forests. Due to the depth-integrated assumption in Boussinesq-type governing equations, the mangrove effect was parameterized by the Morison-type formula (Morison et al. 1950)2) as an additional force term. The force coefficients were determined based on the experimental findings in Chang et al. (2020)3), who conducted modelscale laboratory experiments using 3D-scanned and printed mangrove trees to reproduce the root structure of a typical mature mangrove tree (Rhizophora species) at a reduced scale. Their proposed formulas were used to estimate the drag and inertia coefficients in the numerical simulation. The vertical variation of the mangrove structure due to the prop roots was also addressed in the computations. A preliminary model validation comparing with the experimental data was presented and discussed. Model tests using different configurations were also provided.

  • 新見 将輝, 中川 康之, 井手 喜彦, 山城 賢, 橋本 典明
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_55-I_60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     2019年3月に博多湾奥の沿岸部で浸水被害が発生したという情報をきっかけとして,同時期を含む期間における潮位データの解析を通じて,同湾における副振動の発生とそれによる浸水被害の可能性を検討した.その結果,3月20日22時9分に天文潮位よりも最大20cmの水位上昇を記録しており,また潮位偏差の時系列データを対象としたスペクトル解析を通じて,博多湾において副振動が発生していたことを確認した.さらに,博多湾内の感潮河川における水位データについても解析した結果,湾内の副振動を原因とする30cm以上の水位上昇が生じていたことを確認した.したがって,大潮満潮と副振動の発生が重なった場合,博多湾沿岸部での浸水被害の発生の要因のひとつとして,湾内水の副振動にも十分に注意する必要があると結論付けた.

  • 山城 徹, 齋田 倫範, 中村 大志, 鶴田 拓也, 城本 一義, 吉野 広大
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_61-I_66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     九州西方沖における海洋長波監視網の構築に向けて,2019年2~3月に6地点で同時観測された水位データを解析した.小島漁港では周期24.3分と12.0分,枕崎漁港では周期16.8分と12.3分の副振動が卓越していた.九州西方沖で海洋長波の水位変動が大きいときは,小島漁港,枕崎漁港で副振動の水位変動も大きくなっているが,海洋長波が外洋を伝搬する段階では,小島漁港,枕崎漁港で発生した副振動の周期をもつ水位変動だけが特別に大きい訳ではなかった.周期8~32分の水位変動を調べると,小島漁港で大きな副振動を発生させる海洋長波の監視地点としては,女島が福江島,宇治島よりも適していることが示唆された.また,宇治島,中之島は枕崎漁港で大きな副振動を発生させる海洋長波の監視地点として有効であることが確認された.

  • Kullachart BORRIBUNNANGKUN, Takayuki SUZUKI
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_67-I_72
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     A two-dimensional XBeach model faces difficulty in updating the bathymetry profile under calm conditions. This study investigates the inaccuracy of predicting the undertow, which is a seaward-directed current affecting the suspended sediment load. Progress was made in applying XBeach to the prediction of the observed undertow in the field in the Hasaki coast of Japan. The observations were performed between May 9 and June 2, 2016. To assess the capability of XBeach to reproduce the undertow under low-wave-energy conditions, the datasets observed during the calm situation (after May 24, 2016) are used, and the parameters sensitive to the undertow prediction are adjusted. The results reveal a time-shift problem that occurs at the time-varying undertow velocity. The comparison becomes better when the undertow is forward-shifted for 3 h but remains underestimated. To improve the XBeach default results, a modification is implemented based on the Stokes drift, using the coefficient of water depth. This approach improves the accuracy of undertow prediction in XBeach from bad to reasonable quality for the average of RMAE value (from 0.77 to 0.48), against the observation.

  • 宇多 高明, 川又 雅史, 菊地 正悟, 大谷 靖郎, 中村 明日人
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_73-I_78
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     鹿島灘に面した柏熊地区では,過去に小型GPS内蔵のフロートによる流れの観測とUAV(ドローン)による染料の移流拡散観測が行われ,ヘッドランド周辺での離岸流の発達状況が調べられた.しかし,自然海浜における離岸流の発達状況は明らかにされてはいない.そこで柏熊海岸の自然海浜部において,小型GPS内蔵のフロートによる流れの観測とUAV(ドローン)による染料の移流拡散観測を行うとともに,定点カメラ画像による砕波帯内の微地形観測を実施した.この結果,砕波帯のバートラフの形成と離岸流の発達との間に密接な関係があることが明らかになった.

  • 渡辺 一也, 谷口 隼也, 齋藤 憲寿, 小林 遼馬, 古仲 陽穂
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_79-I_84
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     子吉川では農業用水としての水利用が盛んになされており,本荘平野は良質な米を作り出す産地として知られている.農業と比べて割合は少ないが水道および工業用水としても利用されている.しかし,子吉川では渇水による水不足により塩分遡上が発生する.その遡上距離は河口から10kmにも達し,遡上時においては由利本荘市子吉地区までが揚水不能となっている.そのため,塩分遡上に関してその状況を把握し,遡上の条件について検討することは非常に重要である.

     そこで,本研究では秋田県の一級河川である子吉川を対象として塩分遡上と流量・波高などの外力との関係について検討を行った.結果,流量が低下する夏季において塩分遡上が多く見られることが確認された.しかし,塩分遡上と来襲する波との相関については明瞭な関係性が見られなかった.

  • 笠毛 健生, 三宅 崇智, 小野 信幸, 源平 慶, 太田 琴子, 田平 秀樹, 甲斐 信治, 浅野 敏之
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_85-I_90
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     指宿港海岸では,突堤,離岸堤,護岸,養浜を組み合わせた面的防護工法による整備が進められている.整備にあたり,地域の重要な観光資源である「天然砂むし温泉」を含む温泉地下水環境の保全が課題となっている.本研究では,現地試験養浜により検出された養浜前後の地下水位や砂中温度の変化について,地下水の浸透流・熱輸送解析モデルを用いて再現し,養浜の影響について検討した.試験養浜での観測では,養浜前に低温であった箇所で,養浜後に砂中温度が高温化したことが確認された.構築したモデルを用いた計算により,養浜砂層内の高温域の拡大を良好に再現した.この高温化は,細粒分が多く透水性の低い養浜砂が,透水性の高い現地盤を覆うことで,潮位変動に伴う地下水の鉛直方向の流動と熱拡散を低減することによって生じたものと考えられる.

  • 増永 英治, 木村 和久, 小硲 大地, 張 旭, 内山 雄介
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_91-I_96
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究は2段ネスティング領域海洋循環モデルROMSを用いた日本本州南岸海域における流動再解析値に対してLagrange粒子追跡を実施し,黒潮から沿岸海域への物質の輸送過程を評価した.夏季には伊豆諸島周辺と沿岸海域において渦運動が活性化し,冬季には黒潮流軸以南の海域において渦運動が活性化していた.黒潮が伊豆諸島の地形効果によって複数の分岐流を形成し,西方向へ分岐した流れが遠州灘において低気圧性渦を発生させ駿河湾への黒潮由来の物質の輸送を促進していた.一方東側へ流れる分岐流によって相模湾や房総半島沿岸海域への物質輸送を発生させていた.冬季に比べ夏季の方が黒潮が接岸し沿岸域への黒潮からの物質輸送が顕著に現れていた.渦運動が活発化する冬季は鉛直方向の物質輸送が夏季に比べ強かった.また潮汐により渦運動等の擾乱が活性化することで黒潮から沿岸海域への物質輸送が促進されることが示唆された.

  • 内山 雄介, Xu ZHANG , 柳瀬 翔太
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_97-I_102
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     世界遺産登録を目指す卓抜した自然現象・自然景観である「鳴門の渦潮」の発生メカニズムと,周辺海域環境への影響に着目し,4段ネスト高解像度海洋流動モデリング技術を用いた精緻な数値解析を行った.鳴門海峡に出現する渦潮は,紀淡海峡で分派して淡路島東岸から明石海峡を経て伝播する潮汐波と,紀伊水道北部での潮汐の位相差に伴う圧力勾配によって惹起され,2つの岬に挟まれた狭隘な海峡という独特の地形的な拘束によって強化される潮流の水平シア不安定によって発生することを明らかにした.また,渦潮域直下では海峡中央部の強流帯で沈み込むようなdipole型の鉛直循環流が発生し,極めて効率的な鉛直混合が生じていること,播磨灘から紀伊水道方向への平均海水輸送を促進していることが示された.

  • 田中 みのり, 渡部 真史, 町田 昌彦, 山田 進, 榎本 容太, 郡司 滉大, 有川 太郎
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_103-I_108
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     過去の研究から,シルトフェンスは流速の増加に伴い,汚濁物質拡散防止効果が減少することが示されている.しかし,現状では流速の速い流れに対してもシルトフェンスを使用しなければならない場合もある.他方,シルトフェンスを複数枚設置することで,汚濁物質をより効率的に捕捉するという例もある.そこで,本研究では,速い流速下において,汚濁物質の拡散防止効果の定量的評価を目標として,水理模型実験を行った.その結果,1枚目のシルトフェンスの影響により,2枚目のシルトフェンスのふかれ量が低減することで,汚濁物質がより捕捉されることが分かった.その際の2枚目のシルトフェンスの変形形状は既往の推定式に適切な実験定数を用いることで再現できた.また,平面実験においてもその効果を確認できた.

  • 千綿 蒔, 羽角 華奈子, 織田 幸伸, 伊藤 一教
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_109-I_114
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     数値流体解析ツールOpenFOAMを用いて,高潮発生時の越波・越流による護岸通過流量に関する検討を行った.まず,越波から越流に遷移または同時生起する状況を模した数値実験を行い,越波と越流を同時に考慮した場合の護岸通過流量の推定手法を検討した.その結果,既往モデルは概ね妥当であるが,護岸前面水深が小さい場合,計算の妥当性に注意が必要であることを示した.また,高潮によって海面が護岸高を超え越流が発生した場合,越流公式によって流入量が算定されることになるが,実際には波浪の影響で陸域の浸水位が海水面を超える可能性があり,現状ではこうした状況を評価することができない.越流と高波浪が同時に生起する状況を想定した数値実験を行い,海域のラディエーションストレスによって陸域の浸水位を求める算定式を提案した.

  • 二村 昌樹, 川崎 浩司, 村上 智一, 下川 信也, 飯塚 聡, 西田 修三
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_115-I_120
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     高潮解析に対して非静水圧モデルを適用した事例は少なく,その適用性は十分に明らかになっていない.本研究では,名古屋港周辺地域を対象として,津波シミュレータT-STOCの静水圧モデルおよび非静水圧モデルによる可能最大級台風の高潮浸水解析を実施した.その結果,静水圧/非静水圧モデルの違いが解析結果に与える影響は小さく,解析時間の面も考慮すると高潮浸水解析に対しては基本的に静水圧モデルを適用してよいと判断される.一方で,鉛直層数により遡上域の流動場に違いがみられたことから,解析結果への鉛直分割数の影響に留意する必要があるといえる.

  • 吉野 純, 山本 康平, 小林 智尚
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_121-I_126
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     地球温暖化の進行により,将来気候下の日本列島に上陸する台風は「強大化」するだけでなく「低速化」すると指摘されている.先行研究により,温暖化により低速化した台風に伴う可能最大高潮は,伊勢湾の湾奥(名古屋港)よりも西岸域(津港)でより高くなるという常識とは異なる結果が示されている.本研究では,経験的台風モデルと高潮モデルを用いて,伊勢湾を模した理想的な地形を設定して高潮に関する感度実験を行い,伊勢湾西岸域における潮位上昇メカニズムを考察した.感度実験の結果より,1) 低速台風の北側の強い東風,2) 志摩半島の存在,3) 湾内の水深変化によって,伊勢湾内に正負の2つの渦度からなる双極渦が生成され,湾西岸で2つの流れが収束することで潮位上昇が生じることが明らかとなった.

  • 石川 綾乃, 小笠原 敏記, 村上 智一, 河野 裕美, 水谷 晃, 下川 信也
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_127-I_132
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     温暖化シナリオA1Bの想定の下,強大化する台風は沿岸地域に暴風だけでなく,高潮も発生させる.高潮の浸水予測計算の精度を向上させるためには,風から海面に作用するせん断応力を表すための海面抵抗係数を正しく評価する必要がある.しかし,過去に発生した台風の風速で検討されてきた海面抵抗係数のバルク式が,強大化する台風によって発生する暴風にも適切なのかは疑問である.このような現状から,より多くの温暖化時における台風の観測データが要求される.

     本研究では,沖縄県西表島網取湾において,4年間にわたる長期観測で得られたデータを基に,温暖化時の強大台風に匹敵する台風下での海水流動の特性について検討する.その結果,網取湾を通過する台風経路の違い,すなわち,25m/sを越える風速を持つ台風であっても湾内への風向の違いによって,水面表層から下層までの流速の発達および下層への運動量輸送過程に明確な違いがあることを明らかにした.

  • 豊田 将也, 吉野 純, 林 実里, 小林 智尚
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_133-I_138
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     2019年台風19号は中心気圧955hPaという記録的な強さを維持して上陸した43年ぶりの命名台風であり,関東地方を中心に主として大雨による甚大な被害をもたらした.東京湾の高潮については最悪の進路を免れたが,今後はこの記録的な台風19号の勢力や進路を基準として想定最悪高潮を力学的に評価することにより,各地の対策が見直されることになると考えられる.本研究では,高解像度台風-高潮結合モデルを用いて,台風19号を想定外力とした多数の進路アンサンブル実験を行い,東京湾および伊勢湾における可能最大高潮を評価した.東京湾における最悪の進路による高潮は2.32mとなり,満潮時に襲来した場合,既往最高潮位(T.P. 2.03m)を大きく上回る可能性があったことが明らかとなった.また,仮にこの台風が伊勢湾に接近・上陸した場合には,台風が三重県沿岸付近を北上する進路において最大高潮偏差は3.0mを超え,伊勢湾台風と同程度の高潮(T.P. 3.89m)が発生する可能性があることが明らかとなった.

  • 澁谷 容子, 森 信人, 中條 壮大, 梅田 尋慈
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_139-I_144
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     2019年10月に東日本を襲った台風19号は令和元年東日本台風と命名されて,主に大雨により甚大な被害をもたらした台風である.高潮にとってもキティ台風に匹敵する潮位偏差が東京湾で記録された.また,気候変動に伴い台風の強度化や経路の変化が予測されていることから,台風19号の経路の再現期間やその将来変化を評価することも重要であるが,高潮などの低頻度事象は観測値が十分ではなくその評価は困難であった.本研究ではd4PDFおよびGSTMデータを用いて,台風19号の類似経路の再現期間およびその将来変化の評価を行った.また,既往研究結果より東京湾にとって最大クラス高潮を引き起こす経路の再現期間を算出した.将来気候において台風の発生個数が減少するという作用が経路変化や強度変化よりも長期評価に大きく影響することがわかった.

  • 浅岡 大輝, 増永 英治, 小室 俊輔, 北村 立実
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_145-I_150
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,地形と成層状態の変化に関係する風応力の物理・混合現象への応答時間を明らかにすることを目的とし,高解像度水理モデルSUNTANSを用いて数値実験を行った.風応力や地形の変化に伴う物理現象の応答時間を,Wedderburn numberを0.1〜10に設定した数値実験から検証した.水温躍層の傾きとポテンシャルエネルギーから推定される2つの応答時間スケールを用いた.応答時間スケールの最小値は非線形性を伴う場合を除き内部セイシュ周期の1/4倍によって決定されることが示唆された.不安定性と混合状態を評価するため内部フルード数を求めた結果,非線形性を伴う場合には値が1を大きく超え,混合が促進されていたことが明らかとなった.またリチャードソン数を用いた解析から強い混合は風下側から風上側へ時間とともに広がることが明らかとなった.

  • 志村 智也, 森 信人, 浦野 大介, 水田 亮
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_151-I_156
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     全球気候モデルにより計算される台風統計量は,気候変動の影響評価にとって重要である.全球大気気候モデルと波浪モデルを双方向結合し,波齢および波向−風向のずれを考慮した海面抵抗係数を導入した台風計算を実施した.過去,北西太平洋で発生した強い台風100個を対象として実験を行い,その平均的な性質を解析することにより系統的な台風への影響を評価した.結果,台風強度に対する波浪結合の平均的な影響はほとんど見られなかった.一方で台風経路に対して系統的な差がみられた.波浪結合計算では,非結合計算と比較して,日本付近の中緯度では,台風経路が平均的に1◦程度東側にずれることがわかった.長期的な評価を行う気候モデルにおいて,本研究で見られた台風経路の系統的な差は気候変動影響評価に決定的な差異をもたらすと考えられる.

  • 渡部 靖憲, 土屋 裕嵩
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_157-I_162
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,界面での気液流速が法線方向ジャンプ条件,接線応力条件を満足するGhost流速の外挿をベースとするSharp Inteface Modelを使ったLarge Eddy Simulationを行った.それにより静水上を一定圧力勾配で吹走する風により界面を挟んで発達する気液組織的3次元境界層流れを解き,風波の発生過程を議論した.限界風速に達するとスパン流速および鉛直流速が風向きと直交方向に配列し,風向き方向に回転する交互交代渦列が発生する.同時にスパン方向の変動と対応した風向き方向に伸長する縦筋状の水面のくぼみが発生し,風速の増大と共に表面張力波スケールの水面及び流速変動が出現する.

  • Yukun WANG, Yuji SUGIHARA, Xianting ZHAO, Haruki NAKASHIMA, Osama ELJA ...
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_163-I_168
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     Whitecaps generated by wave breaking on the ocean surface play an important role in the local interaction across the air-sea interface. Whitecap coverage is defined by the area of whitecaps per the unit ocean surface. It has been recognized as one of the most valuable physical quantities for describing the ocean surface fluxes such as the momentum, heat and carbon dioxide, so that the quantitative evaluation of whitecap coverage becomes significant from viewpoints of coastal and ocean engineering. In this study, a progressive high-precision whitecap extraction model is first built by using the algorithm of deep learning. Compared with a traditional whitecap extraction model based on threshold value, the algorithm is found to solve problems caused by illuminance condition and color change on the ocean surface, and effectively extracts fine whitecaps with complicated structures. Further, through comparisons with previous algorithms such as Automatic Whitecap Extraction (AWE), Iterative Between Class Variance (IBCV) and the whitecap extraction based on fixed threshold value, the present algorithm is demonstrated to be more accurate for identifying whitecaps, and it reduces the amount of evaluation load, and can effectively apply for changeable ocean conditions. The new whitecap extraction technology is used to determine whitecap coverage when shooting digital images under complicated sea surface conditions. Due to the progressive characteristics of this algorithm, it has not only a high precision processing effect on images taken by a fixed camera, but also has the potential to analyze accurately images from a non-fixed camera system, such as an observation ship equipped with camera system, unmanned aerial vehicle and so on.

  • Yukun WANG, Yuji SUGIHARA, Yoshihiro NAKAMURA, Osama ELJAMAL
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_169-I_174
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     It is important to characterize the transition process of wind-driven water surface to be closely connected to the momentum and gas exchanges across the air-sea interface. In the present study, the transition of the wind-driven surface flow was investigated by means of laboratory experiments, which were carried out using a wind-water tunnel, 17m long, 0.6m wide and 0.8m high. The velocity of the wind-driven surface flow, which is a Lagrangian surface velocity consisting of the Eulerian flow velocity and the Stokes drift velocity, was evaluated by measuring the velocity of float disk rafting on the water surface. According to the experimental results, we examined the critical conditions under which the micro-scale breaking and bubble-mixed breaking waves appear on the water surface. The relation of the surface flow velocity with the friction velocity was found to be changed around u* = 0.3m/s like the relations with the drag coefficient and the Stokes drift velocity at the water surface. Our experimental results also showed the behavior of the wind-driven surface flow velocity to be varied depending on the windsea Reynolds number. The results suggest that the wave breaking controls the wind-driven surface flow.

  • 二宮 順一, 竹見 哲也, 森 信人
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_175-I_180
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     北西太平洋の歴史的イベントとなったスーパー台風Haiyanを対象に,高解像度大気海洋波浪結合モデルCOAWSTを用いた海面抵抗係数𝐶dと海洋表層混合層に関する数値実験を行った.海面抵抗推算式として風速依存のCharnock式,波形勾配依存のTaylor and Yelland式と高風速の𝐶dの飽和上限値を設定した数値実験,海洋表層混合層として平年及び標準偏差分のばらつきを設定した実験を行った.飽和上限値の有無は海面抵抗係数推算式の違いに比べて,台風に対して大きな影響を及ぼした.飽和上限値無しの波形勾配依存式は最もBest Trackに近い結果を推定し,特に急発達を良く表現していた.海洋混合層の厚さは標準偏差分の差によって台風強度は約5hPa変化した.台風通過による水温構造の変化は,混合層厚さに依らず,表層と混合層底部付近の2層で異なる変動を示した.

  • 藤木 峻, 森 信人, 川口 浩二, 田村 仁
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_181-I_186
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     波浪は単純な風波やうねり以外にも多峰性方向スペクトルを含む複雑な海象条件を示すが,海象条件の違いが波浪モデルの再現精度への影響に関する知見は少数の事例研究に限られている.本研究では,現地観測および波浪モデルの方向スペクトルを対象に,多峰性を考慮した海象条件の波浪モデルの再現精度への影響評価を行った.まず,観測とモデルで方向スペクトルの多峰性と風波・うねりの寄与を比較したところ,大幅な乖離を示す地点は少なくモデルで概ね再現可能であった.次に海象条件と波浪モデルの再現精度の対応を確認したところ,太平洋側で特徴的な周期のRMSEの増加が,単峰性のうねりおよび多峰性波浪場のスペクトルの再現精度に起因する可能性が示された.

  • 安田 誠宏, 森川 湧太, 間瀬 肇
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_187-I_192
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     近年,うねり性波浪による港湾構造物の被災事例が報告されている.なかでも,うねりと風波のような卓越周期の異なる2種の波群が重畳した場合に発生する二山型スペクトル波は,統計的性質が複雑であり,改正された港湾施設の技術基準においてもその重要性が示されている.二山型スペクトル波の波力算定方法に関して,谷本ら1)は,混成堤直立部に働く二山型スペクトル波の波力特性を実験により明らかにし,設計周期の算定法を検討している.本研究では,二山型スペクトル波の代表周期に加えて,代表波高の算定方法を数値シミュレーションにより検討した.また,過去に提案されている二山型スペクトル波の3種類の代表周期算定式の適用性を比較・検討するとともに,谷本らの算定法を修正することにより精度が向上することを確認した.

  • 高橋 康弘, 高山 知司, 遠藤 敏雄, 鈴木 善光, 浜口 正志, 松藤 絵理子, 石本 健治, 原 信彦
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_193-I_198
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     2019年9月に東京湾を縦断し湾岸の港湾・海岸施設に大きな被害をもたらした令和元年房総半島台風(台風1915号)は,コンパクトではあるが中心付近の気圧傾度が大きい台風であった.横浜港や千葉港などでは,高波や越波・越流によるパラペット破壊や浸水等多くの被災があった.特に横浜沖の波浪の方向スペクトルは,異なった方向からほぼ同一周期の明瞭な二山のピークが見られた.このために波形勾配が異常に大きな波となり波力が増強し,横浜での被災を大きくしたと推察される.北西太平洋の平均的な海水温度の上昇が将来的にも続くと推定され,1915号のようなこれまでと異なるタイプの台風が発生する可能性も高まると想定される.本研究では,1915号による東京湾内での波浪場の特性と被災状況を分析し,今後も来襲する可能性が高い新たなタイプの台風に対する港湾・海岸施設の整備上の留意点を提案する.

  • 橋本 典明, 三井 正雄, 川口 浩二, 藤木 峻
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_199-I_204
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     多層型超音波ドップラー式海象計(DWM)で高精度な方向スペクトルを観測し,推定するために,DWMで観測された多層の斜方向の水粒子速度の特性を検討した.さらに,これらの特性を考慮して方向スペクトル推定法の精度向上に資することが可能な観測データに基づく新たな伝達関数を提案した.また,方向スペクトルを推定するための連立積分方程式を解く際に適用する重み付き最小二乗法の重み関数を検討し,より安定性が高く信頼性が高い方向スペクトルを推定可能な重み関数を検討した.さらに,これらの方法をベイズ型モデルを用いた方向スペクトル推定法に導入して現地観測データに適用して検討し,本研究で提案した伝達関数と重み関数を用いれば,高精度で安定性が高く信頼性の高い方向スペクトルが推定可能であることを示した.

  • 田中 陽二
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_205-I_210
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     確率波の周期は,波高に対する周期の線形式や等波形勾配線などの近似式をあてはめて算出する方法が多く用いられている.しかしながら,そのように推定された周期は過小評価や過大評価となることもしばしば発生する.本研究の目的は,確率波の周期について波高発達率の指標を用いた新しい推定方法を提案するとともに,その適用性について検討することである.提案モデルについて特徴の異なる3地点に対して適用性を検証したところ,どの地点についても観測値と良く一致していることが確認された.また,周期の標準偏差についてもモデル化を行い,観測値と概ね一致することを確認した.

  • 山縣 史朗, 川添 僚太, 井手 喜彦, 山城 賢, 升永 史織
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_211-I_216
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     波と流れの相互作用が活発な沿岸域での波浪・高潮推算のため,波・流れカップリングモデルが開発されてきた.その多くは複雑な海岸地形を精度良く表現することが難しい構造格子系のモデルである.一方,非構造格子系のモデルは海岸地形の再現性が高く高精度な計算が可能であるが,カップリングモデルの構築例は少ない.その主な理由として,非構造格子系モデルは計算負荷が大きいため,広域かつ長期間の計算が困難であることが考えられる.本研究では,非構造格子系に対応した波と流れのそれぞれの既往モデルを結合し,流れから波への1-wayカップリングモデルを構築した.その際,波と流れの計算において,それぞれ異なる計算格子を設定可能とすることで,計算負荷の低減を図った.その結果,計算時間を大幅に短縮しながらも高精度な計算が可能となった.

  • Chathura MANAWASEKARA, Katsuyuki SUZUYAMA, Yoji TANAKA, Yiqing XIA, Ma ...
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_217-I_222
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     Numerical simulation of wind-induced wave in Tokyo Bay under typhoon Faxai (T1915) was carried out and the results are discussed in the paper. Accurate simulation of the wave height distribution in Tokyo bay, especially during the peak period, has been a significant challenge in the past. Majority of the challenge has been posed in finding an accurate wind field to represent the complex gusts under major typhoons, which eventually acts as the energy source for the wave generation. The motivation of the study is to assess the effectiveness of different wind sources of Typhoon Faxai through wave simulation model. In the study GPV wind data released by JMA were used as the main wind source and later wind field was improved through typhoon-bogussing and 4DVar data assimilation. The simulated wave properties (using each of those wind field as the source input) were compared with the wave observation data from locations in Tokyo bay. Results indicate that a significant improvement of peak wave height in Tokyo-bay under typhoon Faxai can be achieved through processing the available wind through 4DVar data assimilation. The results are presented in the paper and improvements and drawbacks of the different wind fields are discussed in the view point of wave simulation.

  • 山口 正隆, 井内 国光, 宇都宮 好博, 野中 浩一, 畑田 佳男, 日野 幹雄
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_223-I_228
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     過去数十年間の台風を対象として,台風中心から2つの等圧線上の計8地点までの距離資料と中心気圧資料をMyers式およびHolland式に適用して台風半径等の資料を得,さらに既往の5種類の気圧資料に対する結果と合わせて中心気圧差との関係を包括的に調べた.台風半径資料はいずれも大きなばらつきを伴うけれども,その小区間別平均値は中心気圧差とともにごく緩やかな増加を経たのち急増する特徴を与える.ついで,台風中心から2等風速線上の計4地点までの距離資料と最大風速資料をMyers式に基づく傾度風モデル(台風の移動を考慮)により解析し,台風半径等の資料を得た.台風半径は中心気圧差に関してJWA気圧資料の台風半径と概略で符合するが,気圧資料の場合ほど急増しない.

  • 千代延 啓之朗, 金 洙列, 武田 将英, 原 知聡, 間瀬 肇, Tracey H. A. TOM
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_229-I_234
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,実際に配信されるJMA GWM,NOAA WW3,ECMWF HRES-WAMの全球波浪予報値を用いてGroup Method of Data Handling (GMDH)による1週間先波浪予測手法をNOWPHASの波浪観測値がある常陸那珂,秋田,高知,那覇に適用して,GMDH波浪予測値の精度を検討した.その結果,波高に関しては4地点で全球波高予報値に比べてGMDH予測値の方が観測値との誤差を最大60%減少させることができた.波の周期に関しては,秋田以外の3地点においてGMDHを用いることで予測誤差を最大70%減少させることができた.また,日本周辺における3種類の全球波浪予報値(JMA GWM,NOAA WW3,ECMWF HRES-WAM)のGMDH予測モデルに用いる最良の組合せは地域毎に異なることがわかった.

  • 増田 和輝, 二宮 順一, 斎藤 武久
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_235-I_240
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     気候変動による極端現象の強化に伴う寄り回り波の災害リスクの増大が懸念される.低頻度高波の統計的評価が重要であり,それには長期の波浪データが必要とされる.しかし,富山湾沿岸において波浪推算モデルによる高波浪の再現は難しい現状にある.著者らはニューラルネットワーク(NN)を用いた富山湾沿岸波浪推算モデルを構築してきたが,低気圧特性に応じた適用性に課題があった.本研究では,教師データの多時刻学習やアンサンブル学習のうちスタッキングを取り入れたNNの統合を行い,汎用性の高い推算モデルを構築し,観測データのない過去波浪の推算と低頻度波浪の統計的評価を行う.その結果,汎用的で高精度なNNを構築し,富山湾の低頻度波浪の統計的評価では観測期間に極端現象を十分に取り込む必要があることを明らかにした.

  • 藤原 和弘, 白井 知輝, 大宮 知起, 有川 太郎
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_241-I_246
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     船舶航行時に,最適航路を使用することでCO2削減効果が報告されており,数時間先までの船舶周辺の波浪場を精度よく予測することが重要となる.船舶周辺の波浪場のような局所的かつ,短期的な予測精度を向上させるためには,船舶観測データを随時用いて予測値を修正するような仕組みが必要となる.そこで本研究では,逐次データ同化手法の一つであるEnKFを波浪推算モデルに導入し,精度向上を図った.結果,船舶観測データを用いることにより、10%の推算精度向上とEnKFの有用性が示された.また,沿岸部での波浪推算精度の向上,観測点の増加による海上全体の精度向上を図るため,NOWPHAS波浪観測データを併用し観測データを増やすことで,データ同化前の有義波高の推算精度と比較して,最大で約27%の精度向上が確認された.

  • 白井 知輝, 藤原 和弘, 渡部 真史, 有川 太郎
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_247-I_252
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,2019年台風19号を対象にWRFを用いた予測計算を行い,台風予測結果を外力として高潮・波浪推算を行った.台風19号においては,台風が日本の直近の海岸線から900~1000kmの距離に到達してから予測を開始した場合,上陸前後での台風経路と台風強度を概ね再現できた.台風予測精度が高いケースでは波浪予測精度も高くなり,妥当な予測結果を得た.高潮も同様の傾向が見られたが,ピーク値は過小評価となった.台風・高潮・波浪予測において,計算時間やコストの制約の中で,可能な限り予測精度が高くなる計算条件の設定は重要であるが,その視点から検討を行った事例は少なく,今後多くの事例の蓄積により計算条件の一般化が望まれる.本研究は,計算条件設定の一般化に向けた,1つの事例蓄積としての位置づけにある.

  • 髙木 雅史, 森 信人, 二宮 順一
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_253-I_258
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     海洋表層混合の計算において重要である海洋表層における乱流運動エネルギー(TKE)の推定とその評価を行った.現地観測データの解析により,Feddersenらによって提案された波浪によるTKEフラックス条件式における輸送割合係数αは,風向と波向の関係に依存し,波に対して逆風の時に特に値が大きいことが明らかとなった.これをもとに,大気海洋波浪結合モデルを用いて2013年の台風Haiyanの数値計算を行い,TKEフラックス条件式が大気・海洋に与える影響を評価した.波浪依存と風速依存のTKEフラックス条件式を用いた場合の結果を比較すると,海面水温(SST)に最大約0.2度の差が見られた.また,海面熱フラックスや風速エネルギーには最大10%程度の差が見られ,これらの値と最低中心気圧に有意な相関がみられた.この結果より,海洋表層混合の数値計算における波浪の影響の重要性を示した.

  • 大石 裕介, 新出 孝政, 山崎 崇史, 牧野嶋 文泰, 馬場 俊孝, 前田 拓人, 近貞 直孝, 対馬 弘晃, 高川 智博
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_259-I_264
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     OpenFOAMを用いた3次元津波モデルによる津波伝播シミュレーションを実施し,解析解や2次元モデルと比較したところ,従来の2次元分散波方程式による津波モデルに比べ短波長の分散波をより高精度に再現可能であることが分かった.また,3次元津波モデルを南海トラフ巨大地震に適用し,海溝軸付近で想定される大滑り域による短波長の津波を,2次元モデルよりも高精度に予測できる可能性が示唆された.南海トラフ巨大地震のシミュレーションに要する時間を測定し,約1,000コアを用いた並列計算によって,実時間よりも高速な解析が可能であることが確認した.南海トラフ巨大地震の波源域を包含するような広域の3次元津波伝播シミュレーションは,適切な並列計算環境があれば十分に実施可能であり,津波の短波長成分まで含めた高精度の再現において有効であることが分かった.

  • 上野 卓也, 由比 政年, 楳田 真也, 上島 巧, 古路 裕子
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_265-I_270
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     透過性防波柵について津波被害の軽減事例や浸水流の1次元的低減効果の検討結果は報告されているが,防波柵背後の遮蔽域形成や回折等を含む平面的特性を検討した例は少ない.本研究では,防波柵の長さ・構造物距離と津波遮蔽効果の関係に着目して,高解像度スキームと四分木格子による数値解析を実施した.柵背後では三角形状に浸水深・浸水流速が低減する遮蔽域が形成され,遮蔽距離は透過柵・不透過柵によらず柵長より評価できる.柵背後域では,構造物に作用する津波流体力は距離柵長比が増加すると一定値に漸近し,遠方においても流体力の低減が確認された.また,構造物前面のせき上げ高を構造物を設置しない場合の比エネルギーより評価可能であるが,不透過柵では構造物位置が遮蔽域の内か外かにより,せき上げ高が鋭敏に変化することが示された.

  • 山中 悠資, 島津 希来, 下園 武範, 檜垣 敬真
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_271-I_276
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     日本海で発生した大規模地震津波の一つである1833年庄内沖地震津波を対象に,日本海西部沿岸域におけるその挙動と増幅特性を推定した.まず痕跡高及び歴史史料と津波の位相特性を分析し,日本海西部沿岸域に位置する境港市で発生した浸水は,津波の後続波の増幅によって発生した可能性があることが示唆された.そこで,本研究では沿岸部固有振動による後続波の増幅に着目し,現地調査と数値実験に基づき同沿岸域の固有振動特性を推定した.これらを踏まえ,庄内沖地震の断層モデルに基づきそれによる津波の伝播を推定した.境港市沿岸における推定水位は痕跡高と整合していることを確認したうえでその増幅特性を分析し,津波の第一波目の水位上昇量よりも後続波の水位上昇量の方が有意に大きかったことがわかった.また,美保湾内で励起された複数の固有振動モードの重合が津波の後続波を大きく増大させ,氾濫被害を拡大させた可能性が示唆された.

  • 長山 昭夫
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_277-I_282
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     北海道十勝沖地震津波(2003年)や東北地方太平洋沖地震津波(2011年)の被災範囲が広がった原因のひとつとして,大陸棚地形における沿岸方向に伝搬する津波エッジ波の生成が指摘されている.2017年には活断層の存在が確認されていない鹿児島湾中央西部のJX喜入石油備蓄基地沖合を震源とするM5.3の地震が発生した.そこで本研究は鹿児島湾内で発生する直下型地震を対象に震源位置を含む断層パラメータの検討を行い,次に3次元数値流体ライブラリを使用し陸棚地形における津波波高と津波エッジ波の生成について検討を行った.その結果,鹿児島湾中央西部沿岸域においてはエッジ波の分散関係を満たす箇所があり,定常波性エッジ波と進行波性エッジ波の発生の可能性があることがわかった.

  • 久保田 博貴, 鶴田 修己, 千田 優, 朝比 翔太, 遠山 憲二, 鈴木 高二朗
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_283-I_288
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     津波襲来時の防波堤堤頭部の越流を伴う流れ場は,複雑流を再現するために実験規模や計算負荷が大規模になることから水理模型実験や数値波動水槽を用いた検討例が少なく,未だ不明な点が多い.そこで,本研究では大規模な三次元水理模型実験を実施すると伴に,広域計算が可能なSTOC-MLから粒子法型数値波動水槽PARISPHEREへと繋ぎ,巨大津波を対象に大領域かつ高解像度に現象を追跡するための枠組みを提案し,水理模型実験との比較から数値計算モデルの妥当性を検討した.さらに,これら防波堤堤頭部の詳細な検討から,港内外水位差が大きい巨大津波では防波堤先端部付近で津波が港内側下部へ潜り込み,流速が小さい上層と大きい下層の二層構造を呈する新たな傾向を示した.

  • 宮下 卓也, GOMEZ-RAMOS Octavio , 森 信人
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_289-I_294
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     計算過程で空間解像度や時間刻み幅が動的に変化する適合格子細分化法(AMR法)の数値モデルを用いて,南海トラフ沿いで発生する巨大地震を対象に津波計算を行った.まずはじめにAMR法を用いた数値モデルの精度検証を行うため,解像度を固定した数値モデルとの計算結果を比較した.モデル間の比較の結果,いずれの地域においても計算結果は概ね一致した.つづいて,AMR法の格子分割基準を変化させた感度分析を行い,精度を保ちつつ計算負荷を減少させる格子分割条件を求めた.水深を閾値に格子解像度のレベルに上限を設けることで,計算に要する時間を有効に削減できることがわかった.AMR法を用いた数値モデルは,再現計算時間が長い場合や,広く長い海岸を対象に一体的に解く場合に有用と考えられる.

  • 福谷 陽, 森口 周二, 寺田 賢二郎, 鴫原 良典
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_295-I_300
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/04
    ジャーナル 認証あり

     各種構造物に作用する津波荷重の評価では,設計用浸水深の3倍に相当する静水圧(水深係数)が作用することを基本とし,周辺状況によりその倍率を低減させている.これまで建築物に作用する津波波圧や水深係数の低減に関わる水理模型実験や数値解析は数多く行われてきたものの,最大規模の想定津波による水深係数の空間分布やその確率的変動について,数値解析を用いて定量的に評価した研究はない.本研究では,首都圏に多大な影響を及ぼすと想定されている相模トラフ巨大地震津波を対象に,固有直交分解による空間モード分解を用いた評価手法を適用し,水深係数の空間的不確実性を評価した.結果,今回の事例では,水深係数の標準偏差は大きい地域で0.6前後であり,また,海岸からの直線距離が約1 km程度で0.5程度減少する傾向のあることが分かった.

feedback
Top