2020 年 76 巻 2 号 p. I_325-I_330
沖合に設置されている津波観測網の新規設置には多額の費用が必要であり,津波被害が想定されている地域であっても経済的要因により未整備の地域も多く存在する.本研究では,遺伝的アルゴリズム(GA)によって,観測点の組合せを制限せずに,観測網の観測点数と津波逆解析精度の関係を示すことのできる,沖合津波観測点の最適配置探索手法を提案し,数値実験により,その有効性を確認した.2011年東北地方太平洋沖地震津波及びM8地震を対象とした数値実験を実施した結果,提案手法によって,網羅的に設定した観測網よりも波源の推定精度が高い観測網を得ることができ,規則配置やランダム配置からの精度向上は,観測点数が少ないほど,顕著であった.コストを抑えながら高い性能を持つ観測網の設計を行う際に本手法が有効であることが示唆された.