2021 年 77 巻 2 号 p. I_391-I_396
本研究では,沿岸域の複雑な光学特性を考慮した海色リモートセンシングのための合成データの構築方法を提案した.合成データの構築にあたり,東京湾で収集した固有光学特性(IOPs),水質の実測値を使用し,放射伝達計算の有効性を確認した.また,階層クラスタリングによりIOPsと水質項目を関連づけて分類し,生物光学モデルに組み込むことで植物プランクトンの種の変遷,陸域と内部生産起源の有色溶存有機物(CDOM)や無機態懸濁物質とデトリタスとの光学特性の違いを表現可能な合成データの構築法を考案した.作成したRrs,IOPsの合成データは,実測値との比較や既存のIOPs推定アルゴリズムへの適用を通して,概ね現実に則した合成データが作成されたことが確認できた.