土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
中小河川における高潮・洪水の重複による水位上昇特性の評価
春山 和輝豊田 将也加藤 茂
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2022 年 78 巻 2 号 p. I_403-I_408

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抄録

 勢力の強い台風襲来時の中小河川では,洪水流が短時間のうちに河口に到達するため,高潮と洪水のピークが重なりやすく複合氾濫に対するリスクが高い.これまでに複合氾濫に対する検討は主に一級河川を対象としており,中小河川での影響を定量的に評価した研究はほとんど行われていない.本研究では,流域全体と河口域の高解像度計算を組み合わせ,2018年台風24号を対象に愛知県東三河地方の二級河川(柳生川,梅田川)における水位に関する計算を実施した.再現計算とピーク時刻に関する感度実験の結果,柳生川および梅田川では高潮・洪水のピーク時刻が重複し,高潮・洪水が単一で発生する場合に比べて柳生川で14.3%,梅田川では5.0%の水位上昇効果が明らかとなった.さらに,複合氾濫発生を想定した氾濫実験では橋梁付近の河川狭窄部が複合氾濫に脆弱な地点であることも明らかとなった.

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