2022 年 78 巻 2 号 p. I_547-I_552
海浜上を斜めに移動する飛砂を遮断し,ある領域内に閉じ込めるという発想に基づき,汀線に平行な堆砂垣と堆砂垣からある一定の距離(離垣距離)を隔て,岸沖方向に設置する縦堆砂垣群の配置を考案した.離垣距離は隅角部に集中する飛砂の一部を風下側に流出させ,かつ垣設置時,維持管理作業用に利用する.配置の特徴は,縦堆砂垣の長さと縦堆砂垣間の距離を調整することにより飛砂の捕捉範囲を任意に決めることができることに有る.現地実験は以下の結果を示した.縦堆砂垣群配置は意図したように飛砂制御をしている.汀線に平行に設置される堆砂垣と直交する縦堆砂垣周辺の堆積量から飛砂量が算定できた.汀線に平行に設置される堆砂垣と縦堆砂垣の飛砂通過断面の中央点を通り卓越風向に平行な汀線から堆砂垣までの距離(飛砂発生可能砂面長)は飛砂発生域の特性を示す指標になり得る可能性がある.離垣距離5mは適切に機能する.