2022 年 78 巻 2 号 p. I_889-I_894
鉄鋼スラグは鉱石から金属を還元・生成する過程で出る副産物であり,近年は余剰した鉄鋼スラグを浅海域での覆砂や環境修復材など他用途へ活用することが注目されている.本研究では,大阪湾奥部に流入する都市河川・生田川河口域において,人工わんどでの覆砂材として使用した場合に,底生生物等の生息環境に影響すると考えられる栄養塩溶出特性・酸素消費特性について検討するため,室内実験および現地調査を実施した.その結果,季節的に地下水湧出等の影響を受けやすい環境下においても,鉄鋼スラグは底質直上水の溶存酸素濃度を高く維持し,底質からNH4+-N・PO43--Pの溶出を抑制することがわかった.