会計史学会年報
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アメリカ管理会計史研究の役割
高梠 真一
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2017 年 2017 巻 36 号 p. 33-52

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抄録

本稿では,一次資料に基づく管理会計史研究の意義を検討すると共に,具体的ないくつかの事例を用いて,これまでの管理会計史研究では十分に認識されてこなかった視点を抽出し,管理会計史研究の役割について考察する。具体的には,事例として,19世紀中期のウェスタン鉄道,19世紀後期のカーネギー・スティール社,20世紀初頭のデュポン火薬会社,20世紀前半のデュポン社,およびジェネラル・モーターズ社を取り上げ,各会社において,管理会計機能が展開されていた事実を一次資料に基づいて検証し,それらを再構成することによって,若干の結論(あるいは仮説)を導き出す。 そして,管理会計史研究を行う際には,まず事実の正確な認識が大切であり,事実の正確な認識が,論理的な事実の再構成を可能にし,説得力のある論理の構築を導くと考えられるが,本稿では,上記のような研究プロセスを具体的に示すことによって,一次資料を用いた分析から得られた検証結果に基づいて再構成される認識・論理が,現在および未来の管理会計の理解・解釈に対して,いかなる役割を果たすことができるかを検討する。

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© 2017 日本会計史学会
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