2007 年 16 巻 2 号 p. 109-127
2006年度日本海洋学会賞を受賞したアロメトリーを応用した海洋植物プランクトンの生物海洋学的研究の概要は以下の通りである。
海洋現場における植物プランクトン群集の季節変動に関する先駆的な一連の研究を行なった結果,光・光合成曲線の立ち上がり勾配が,一定であることに疑問が生じた。ここにおいて,細胞体積が106違う,7種類の珪藻類を用いて詳細な室内実験を行ない,低照度域において細胞体積と立ち上がり勾配,最大飽和光合成率および呼吸率との関係を明らかにした。
また,細胞炭素含量は細胞体積により推定することができ,その関係は「3/4乗則」に従うとされていた。しかし,光合成生物である珪藻を用いた代謝速度の研究の結果,その代謝は光の吸収に依存するために,光制限下の代謝率の細胞の大きさに対する依存性は「3/4乗則」には従わないことを初めて解明した。解明当初は異論もあったが,この事実は近年の研究で再確認されている。
海洋の光合成過程に対するアロメトリーのために,従来とは異なり,単位を用いない解析方法の導入が必要である。