2012 年 21 巻 4 号 p. 131-144
大気中への二酸化炭素(CO2)排出量の増加に伴う地球規模での気候変動が,生物および生態系に与える影響が危惧されるようになって久しい。近年では,陸域生態系への影響はもとより,資源管理や防災の観点からも,海洋生態系に対する影響の評価と将来予測が急務となりつつある。本総説では,温暖化・海洋酸性化といった地球規模の環境問題のうち,温暖化の直接影響ともいえる異常な高水温が海洋生物に与える影響について,サンゴ礁生態系の基礎生物である造礁サンゴを中心に述べる。また,温暖化に伴う環境負荷応答として見られるサンゴの白化現象が世界各地のサンゴ礁生態系に与える影響と,今後の研究の展望について述べたい。