2014 年 23 巻 6 号 p. 197-216
人工衛星高度計による海面高度偏差(Sea Surface Height Anomaly; SSHA)とアルゴフロートブイ観測の密度場から計算された力学高度偏差(ΔDjdbar; jは基準深度)を組み合わせて,西部北太平洋の風応力の季節変化に対する1年周期の順圧応答成分(ΔDBT =SSHA -ΔD2000)と傾圧応答成分(ΔDBC =ΔD2000 -ΔDML; ML は表層混合層深度)を抽出した。順圧応答成分ΔDBTの特記すべき空間分布は,晩冬季(2~3月)に亜寒帯循環領域の負偏差領域が,亜熱帯循環領域の伊豆小笠原海嶺付近の南方まで舌状に張り出していることである。伊豆小笠原周辺海域では,1~2ヶ月遅れた春季(4~5月)に傾圧応答成分ΔDBCの正偏差領域が出現している。このように,順圧応答から数か月遅れた傾圧応答は,海嶺海底斜面上における順圧・傾圧モードのカップリングによる傾圧運動の励起(Impinging応答)を示唆している。また,シグナルとしては小さいものの,主として亜熱帯域にみられた他の傾圧応答ΔDBCは,約40°N以南に理論上存在可能な傾圧第一モードの1年周期ロスビー波の海洋調節過程と推測された。