日本海洋学会誌
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夏季の大阪湾に於ける珪藻群集の遷移と増殖の模式的表現 (第3報)
塩素量分布との関係に基く珪藻増殖の模式的表現及び結論
上野 福三
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1957 年 13 巻 3 号 p. 107-110

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抄録
1. 大阪湾の夏季増殖における珪藻の分布域と出現量はCl量の水平分布と密接に関係するので, 各群集の増殖域のCl値に基き分布模式を作つた.
2. この分布模式は増減傾向が水温の変化と並行的関係にあるChaetoceros群集では水温の考慮を入れる必要がある.又Lauderia-Guinardia-Thalassiosira群集は, Ch群集の増減を考慮する必要がある.
3. 分布模式を崩す外的要因に次のものがある.
(i) 環流: 群集の衰退期には分布域がCl分布より東にずれる.
(ii) Cl低下と珪藻増殖の速度差: Cl低下が急速な場合, 珪藻はこれと対応して増加することが出来ず, 増殖が遅れる. 従つて出水時の増殖域のCl値は一般に低目になる.
4. 結論として各群集の珪藻量は主に水温と塩素量の函数として現わし得ることが予測される.
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