日本海洋学会誌
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海洋細菌によるアミノ酸の同化と呼吸の速度について
米田 義昭簗田 満陸田 彰
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1974 年 30 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
海洋細菌によるアミノ酸の同化と呼吸の速度を測定した.
この研究に用いた7種類の14C-アミノ酸 (テルギニン, グルタミン酸, グリシン, フエニールアラニン, トリブトファン, セリン及びバリン) と14C-クロレラ蛋白質酸加水分解物 (以下14C-アミノ酸混合物) を基質とした場合の同化と呼吸の反応はMICHAELIS-MENTEN式に従う摂取系であると思われる.アミノ酸の濃度を10-50μg/lの範囲とし, 海洋細菌 (PseudomonaSsp.) を試料100mlにつき2×107個加えた場合の最大速度 (V) は, 正味の同化について0.1-0.19μgC/hour, 一方呼吸について0.18μgC/hour以下であった.
アミノ酸の種類によって同化と呼吸の速度に差がみられる.特徴としてグリシンとトリプトファンは他のアミノ酸よりも同化速度が小さい傾向を示した.このような傾向はin situの測定結果とほぼ一致する.また, アミノ酸の同化速度は共存する他のアミノ酸及びグルコースによっても影響される.
アミノ酸混合物の濃度が15μgC/l (約33μg/l) のとき, 海洋細菌数が104個/ml以下, 6時間内の培養条件では同化速度と細菌数との間に比例関係があり, 両対数グラフ上で直線関係が得られる.この直線の勾配は近似的に1である.
前述の海洋細菌及び親潮海域と黒潮海域で採取した混合菌株のそれぞれについて, アミノ酸の同化と呼吸の速度に及ぼす水温の影響を調べた.同化速度と絶対温度の逆数との関係を半対数グラフで示すと直線関係がなく, 15-20℃に大きな勾配の変化が見出される.同化の最適温度はこの範囲にあり, 5℃における同化速度と比べると3-6倍である.
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