抄録
バロトロピックモードの運動は非発散と仮定して, 陸岸に沿って分布する風の応力の, 東岸 (南北方向に位置する) 付近の二層の海洋に対する影響を調べる. 風の応力としては赤道向きのものだけを考える. 東岸に沿った狭い領域 (幅はロスビーの内部変形半径の規模) に湧昇が生じる. この湧昇は内部重力波の遠さで極方向に伝播していく. 陸岸に沿って分布する風の応力に因って起こされる沿岸湧昇は, 内部ケルビン波の形成と伝播と解釈される. この沿岸湧昇に伴って, 内部モードの運動として, 上層に赤道向きの流れが, 下層に極向きの潜流が生じる. 海底地形として陸棚, 陸棚斜面を考慮した場合には, 陸棚波が形成されるため, 極向きの潜流は風の吹き出しから2-3日遅れて現われる. 風を止めた後は, 陸棚波が湧昇域から離れてしまうため, 極向きの潜流が充分発達する. 陸棚の端にもう一つの湧昇が生じ, 極向きに伝播していく.