日本海洋学会誌
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陸岸に沿って分布する風によって起こる二層の海洋における沿岸湧昇
杉ノ原 伸夫
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1974 年 30 巻 1 号 p. 23-33

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抄録
バロトロピックモードの運動は非発散と仮定して, 陸岸に沿って分布する風の応力の, 東岸 (南北方向に位置する) 付近の二層の海洋に対する影響を調べる. 風の応力としては赤道向きのものだけを考える. 東岸に沿った狭い領域 (幅はロスビーの内部変形半径の規模) に湧昇が生じる. この湧昇は内部重力波の遠さで極方向に伝播していく. 陸岸に沿って分布する風の応力に因って起こされる沿岸湧昇は, 内部ケルビン波の形成と伝播と解釈される. この沿岸湧昇に伴って, 内部モードの運動として, 上層に赤道向きの流れが, 下層に極向きの潜流が生じる. 海底地形として陸棚, 陸棚斜面を考慮した場合には, 陸棚波が形成されるため, 極向きの潜流は風の吹き出しから2-3日遅れて現われる. 風を止めた後は, 陸棚波が湧昇域から離れてしまうため, 極向きの潜流が充分発達する. 陸棚の端にもう一つの湧昇が生じ, 極向きに伝播していく.
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