日本海洋学会誌
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浮標群の見かけの拡散に及ぼす発散・伸び変形・非正規分布の影響
川合 英夫
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1986 年 42 巻 5 号 p. 347-354

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抄録

川合 (1976, 1979) は, パッチを形作る多黎の浮標の見かけの幾何平均主軸拡散係数KGと周囲水の水平発散Q・等方性乱流拡散係数Kn′′との間に成りたつ単純な関係式を2つ導いた. 本報では, 浮標群の重心相対位置座標と残差流速 (平均流速と1次勾配流速とを差しひいた流速) との積の平均値を “混成拡散係数” と呼ぶ. 混成拡散係数を, 浮標群の各分布主軸に沿った拡がりに応じて, 異方的に付重したKn′′であると見なして, 上述の2式の中間形をもつ薪しい関係式を導く. この式を用いて新しい臨界時間-その時間内ではKGに及ぼすQの影響がKn′′の影響を上回る-を定義して, Q2の空間スケール依存式 (川合, 1985b) が基づく時間スケールを論ずる. パッチの伸び変形と2変数正規分布からの浮標位置のずれが, KGに及ぼすKn′′の影響を高める. この“伸び効果”は水平面上の “シア効果” にほかならない.Kn′′の推定値の誤差をへらすための注意を述べる.

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