1990 年 46 巻 3 号 p. 96-106
1983年5月, 8月, 10月に日本海およびオホーツク海の北海道沿岸海域において渦鞭毛藻群集の地理的分布を調査した.同定された渦鞭毛藻92種のうち37種は調査期間を通して出現した.出現種の百分率組成について試料間の類似度指数を計算し, これを基にした群集分析を行ったところ, Cλ=0.66で6つの群集が認められた.渦鞭毛藻群集の分布は海流および水温の分布と密接な関係がみられた.6群集のうち, 全試料の80%を含む群集Iは冷水性種, 暖水性種をそれぞれ主構成種とする2つの群集に細分された.前者は5月の対馬, 宗谷暖流域に広く分布し, 10月にはオホーツク海の表層低塩分水域に分布域を移行した.一方, 後者は8月に対馬, 宗谷暖流域に出現し, 10月には両暖流域に広く分布した.調査期間中に出現した貝毒原因種, Dinophysis fortiiおよびProtogonyaulax tamarensisの分布についても言及した.
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