海の研究
Online ISSN : 2186-3105
Print ISSN : 0916-8362
ISSN-L : 0916-8362
アルゴフロートのターミネーション方法について
水野 恵介
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 12 巻 1 号 p. 37-57

詳細
抄録

観測を終えたアルゴフロートに関して法的規制や環境負荷等を検討し,その運用方法を考察した。法的には占有の意志を明示したラベル等が不可欠であり,回収計画を持つことが好ましいため,一定回数観測後に海面を漂流するようフロートを制御することを推奨する。回収計画立案のため,観測終了後のフロートの挙動を海面漂流ブイの既往資料から推定し,観測終了後1年以内に全球で17%が漂着,7%が海上で拾得されると予測した。太平洋に関しては,亜熱帯循環系において漂着率は比較的低いが,南北緯30度付近に顕著な収束域がある。亜寒帯循環系での漂着率は高く,北米沿岸に漂着が多い。赤道海域はその中間で,赤道帯の島々や西岸へ1年以内に漂着するものが多い。また,フロートの積極的な回収が可能なことを実証するとともに,海面を漂流するフロートは生物付着による重量増加で1年以内に水没する可能性を示した。回収は科学的に有益なため可能な限り多くの回収が望ましい。

著者関連情報
© 日本海洋学会
前の記事 次の記事
feedback
Top