海の研究
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化学トレーサーを用いた水曜海山熱水プルーム中における微生物活動の定量化(地球化学, <特集>海底熱水系における生物・地質の相互作用)
角皆 潤中川 書子岡村 慶
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2005 年 14 巻 2 号 p. 279-295

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抄録

本論文はアーキアン・パーク計画において行われた熱水プルーム中における微生物活動の解明に関する化学的調査の成果をまとめたもので, この調査によって水曜海山カルデラ内外の海水において微生物活動に関連する化学成分の濃度と一部の同位体組成の分布が定量された。また, カルデラ底に湧出する熱水の採取と分析も行なわれた。その結果, 熱水に由来する濁度異常やCH4, Mn, Feの高濃度異常が, カルデラ内はもちろん, カルデラ外でも検出され, 熱水プルームがカルデラ壁上の鞍部を経由して外に漏出していることが判明した。また, 熱水由来のMnの約半分がカルデラ内で分解されているのに対して, CH4は大部分が分解されずにそのまま外に漏出していることも明らかになった。さらに, 水曜海山の熱水プルームではCOも高濃度異常を示すことが明らかになったが, このCOは熱水に由来するのではなく, プルーム内部の微生物活動によって二次的に生成した可能性が高いと結論された。

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