海の研究
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高温環境から分離された新規好熱性微生物(微生物, <特集>海底熱水系における生物・地質の相互作用)
花田 智森 浩二
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2005 年 14 巻 2 号 p. 327-335

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抄録

海底熱水系やその類似環境である地下環境や陸上温泉などの高温極限環境中には, 未だ分離されていない未知微生物が数多く存在している。我々は高温で還元的な状況にあると考えられるこれら環境から, 様々な嫌気的な(または微好気的な)好熱性微生物の単離に成功した。地下で発見されたThermanaeromonas toyohensisは, 蟻酸という単純な有機物を唯一のエネルギー・炭素源とし生育出来る細菌であった。また, 陸上温泉で発見されたThermodesulfobium narugenseは, 今までに知られていた硫酸還元菌系統のどれにも属さず, 新しい系統を代表する硫酸還元細菌であった。さらにまた, 海底熱水系で発見されたOceanithermus desulfuransとArchaeoglobus sp. Arc51株はともに硫黄還元に関係した微生物であった。これら新規微生物から得られた生物学的情報は高温極限環境の微生物生態系や微生物の進化の解明に有益な知見を与えることとなった。

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