海の研究
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海洋極限環境からの効率的な微生物・ゲノム解析試料採取(微生物, <特集>海底熱水系における生物・地質の相互作用)
丸山 明彦河原林 裕東 陽介
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2005 年 14 巻 2 号 p. 347-359

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抄録

海底熱水系やその地下圏などの海洋の極限環境は, 新しい生物現象や生物遺伝子資源の宝庫として, 基礎と応用の両面で注目を集めている。しかし, これらの環境から試料を採取することは容易ではなく, 新しい展開を大きく阻んでいる。そこで我々は, 海底熱水噴出孔直近の掘削という大変貴重な機会を捉え, 熱水地下圏の微生物や遺伝子を対象に, いかに効率的に良好な試料を採取して解析に繋げるかについての検討を行なった。その結果, 掘削循環水を現場で除菌する装置や噴出する熱水を現場で大量にろ過する装置, 海底掘削後に掘削孔の内部あるいは上部に耐熱・耐腐食性の微生物付着基盤を設置し, 現場で微生物培養を可能にする装置等を新たに開発した。そして, 200Lレベルの現場ろ過や高温噴出熱水中での現場培養に成功するとともに, 微生物の多様性やその分布生態, 環境ゲノム情報等に関し新しい知見が得られており, 今後の取り組が期待される。

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